特徴など |
1998年9月のフォトキナで突如予告なくお目見えし、PENTAX 67 の発売から 30年の時を経て、1998年11月に発売された PENTAX 67II は、PENTAX 67 ユーザーの 30年間のフィードバックを詳細に分析して着実に改良を加えたニューモデルである。レンズはもちろんファインダーなどのアクセサリーについても、旧モデルの殆どのものが利用できるという点において、コンパチビリティーにも充分配慮されている。 最大の変更点は、6分割測光の TTL 絞り優先 AE と TTL ストロボ調光であろう。MZ シリーズで充分にこなれた 6分割測光の技術を転用するところはいかにも手堅く、また精度も非常に安定していて、旧機種のようにスポットメーターを持ち歩く必要性は通常の撮影では殆どないといえる。加えて露出補正が 1/3EV ずつ可能であることから、露出周りの使い勝手は格段に良くなっている。 右側にグリップが付いて持ちやすくなったこと (これによってストロボ使用時以外はホットシューグリップ 67II が必要でなくなったことは実は非常に大きい)や、ミラーショックが若干少なくなったこと、CR123A の採用とあいまって低温や電池の消費を極端に気にしなくて良くなったこと、パワーセーブモードが付いてバルブ撮影でも電池消耗を気にしなくて良い点、ファインダー着脱のロック解除が 2段階方式になって誤ってファインダーが落ちる危険性が減ったこと、など、ありがたい改良点をあげればいくつでも出てくるが、ナチュラルブライトマットによってファインダーが明るくなったことは何よりもありがたい点である。F4.5クラスのレンズをつけると旧機種ではとにかくファインダーが暗くなってしまってピントあわせにも苦労することもあったが、67II になってファインダーの暗さを感じることが殆どなくなった。 一方、メーカーオプションのカスタマイズで、ファインダー内に絞り値を表示できるのは非常にありがたいのだが、F値の異なるレンズに交換した際にうっかり設定を忘れると、絞り値がずれて表示されてしまう点には注意が必要である。特に背の高い三脚にカメラを取り付けているときなどは、目視による絞り値の確認がし難いのでレンズ交換の際に忘れずに設定をしなおすことが大切である。 とにかく、旧機種である PENTAX 67 を使っていて「うーむ...」と思っていたところの殆どは改善されているという事実が、PENTAX という会社の素晴らしさを表していると思う。残る問題は、ファインダー視野率 (AE ペンタプリズムファインダー 67II で 90%)と重さだが、視野率を上げるためにプリズムをデカくすれば当然重さはさらに重くなるわけで、この点については改良して欲しいけどして欲しくないという複雑なキモチの問題なのである。 あともう一点、直接的な重さの話ではないが、旧機種に比べて 220フィルムでの撮影枚数が 1枚増えて 21枚になった。これは些細なことのようだが、20枚撮りであったなら、フィルム 20本でもう一本おまけが来るに等しいのだ。特に重量やサイズに制約のある登山やトレッキングにおいては、このことはかなり重要なアドバンテージであると思う。 |
使用履歴 |
2002年5月にヨドバシカメラ新宿西口本店にて購入。PENTAX 67を購入して 5年半後のバージョンアップである。もちろん発売直後に買いたい衝動はあったが、初代 PENTAX 67 を買って 2年しか経っていないのに新機種を買ってしまうのは 67君に申し訳ない気がして、すぐに購入するのは控えた経緯がある。 購入後、実はあまりハデに使い込んではいなかったのだが、2003年9月にたまたま新宿のペンタックスフォーラムで軽く点検してもらった際に、高速シャッター時の幕速逆転と診断されていきなり修理に入ってしまい、予定外の 17,540円の修理費の出費となってしまった。とはいっても、肝心なときに使えないのも困るので、まぁ年に 1回ぐらいは新宿に行くついでにカメラを見てもらうのがちょうどいいのかもしれない。 2004年春にヒマラヤトレッキングに行く際にも事前にチェックしてもらったが、このときは特に何も問題はなく無事ヒマラヤ入りを果たした。ヒマラヤの凄まじい風と砂埃に、他に持っていった FUJI GS645S Professional や RICOH GR1s (これは実は埃で倒れたのではないが...)が、バタバタと倒れて行く中、小まめに掃除していたのもあるが PENTAX 67II は最後まで何のトラブルもなく、確実にメインカメラとしての仕事をこなしてくれた。帰国後すぐにペンタックスフォーラムに持ち込んでチェックしてもらったところ、なんと砂埃は殆ど内部までは入り込んでいなかったとのこと。思いのほか密封構造なのかもしれない。 また、このヒマラヤでも 6×7判の大フォーマットの優位性をフルに発揮し、双眼鏡では見えるものの、肉眼でもファインダー内でも見えないアイスフォールの上を歩く登山者の姿をしっかりと写し込んでくれた。ただ、一方では、治安のいいカトマンズの街中ですら、さすがにカメラを出して肩からかけて歩くのはちょっと躊躇してしまった。やっぱりデカくて目立ちすぎるのだ。 ともあれ、今後もますます現役バリバリで使い込んでいく頼もしい我がメインカメラなのである。 |
参考文献 |
『PENTAX 67 II 使用説明書』 『アサヒペンタックスのすべて』 朝日ソノラマ (1977年12月25日 初版発行) 『使うペンタックス』 中村 文夫著 双葉社 (2001年5月1日 第1刷発行) 『アサヒカメラ ニューフェース診断室 - ペンタックスの軌跡 ペンタックス主な 21機種「診断室」再録』 朝日新聞社 (2000年12月1日発行) 『マニュアルカメラシリーズ10 ペンタックスのすべて』 竢o版社 (2002年1月30日 発行) 『日本カメラ 11月号』 日本カメラ社 (1998年11月1日 発行) 『アサヒカメラ 2月号』 朝日新聞社 (1999年2月1日 発行) 『アサヒカメラ 6月号』 朝日新聞社 (1999年6月1日 発行) 『日本カメラ 9月号』 日本カメラ社 (1999年9月1日 発行) |
PENTAX KM PENTAX K2DMD PENTAX MX PENTAX ME PENTAX LX PENTAX MZ-7 PENTAX MZ-S PENTAX 67 PENTAX 67II FUJI GS645S Professional FUJIFILM TX-1 RICOH GR1s