特徴など |
『光っておまかせ。』のキャッチフレーズ、川原亜矢子のイメージキャラクターと共に 1999年8月に発売された MZ-7 のカタログを見ると、右上には『超小型軽量・おまかせ AF 一眼』と書かれている。このことからも明らかなように、本機は初心者をメインターゲットとした普及機としてのポジショニングである。 その一番の特徴は、電源投入時、そしてオートピクチャープログラムにより自動的にモード選択された際に光って知らせる『光るモードダイヤル』である。視覚的効果としての掴みは充分であるが、オートピクチャープログラムを使った場合には、実際の撮影時には当然ながらファインダー内の同じアイコンを見ることになるわけで、ボディー上部のダイヤルの方は多分に「掴み」の部分なのである。もちろん、各モードに自分で設定する場合には、設定したモードのアイコンが光るので、暗闇の中での設定には効果を発揮する。一部電池の消耗を懸念する声もあったが、まぁ目的はどうあれ、これは初心者でなくても見ていて楽しいものなので、初期の目的は充分に達成しているようである。 機種的には先行の MZ-10 と MZ-5 の中間に位置するカメラで、MZ-10 をベースにグレードアップされたものだが、スペックとしては MZ-5 を超える部分もあるようだ。光るモードダイヤルに加え、フィルムのガイドレールとレンズマウント部に金属が採用されている点や、ファインダー内の表示がオレンジ色に変化する手ブレ警告機能、リモコンの搭載、フィルム感度のマニュアル設定などハード、インターフェース面でも「使える」カメラという基準を満たしている。メインターゲットの初心者だけでなく使い込むことのできるカメラとして、MZ シリーズの中でももっともバランスが良いものであるともいえる。 オートピクチャープログラムはいわゆるプログラム AE なわけだが、被写体に応じてカメラが自動的に 5つの撮影モードの中から最適なものを選択してくれるというもので、MZ-10 で既に実現されていた機能である。MZ-10 のそれに、夜景/人物モードを追加して、さらに表示が光るようにしたものが MZ-7 に搭載されている。各モードのプログラム的には、手ブレがしにくいようにシャッター速度に重点を置いてプログラミングしているという。 オートフォーカスは 3点測距の SAFOX IV を採用したワイド AF で、AF シングルモードのみ。この点と、プレビューボタン、いわゆる絞込みのボタンがない点がちょっと物足りない点ではあるが、『日本カメラ 2001年8月号』掲載の特集、『そろいぶみ 最強 AF 一眼レフ入門機 4 機種 完全チェック』でのテスト結果を参照する限りにおいては、同等グレードの他社 4機種と共に AF の中抜けは発生していない。ところが、実際に使っていると AF が迷うことが意外と多く、さらに、ターゲットの設定上仕方がないかとは思うが、AF がシングルモードのみということも相まって、もどかしい思いをすることが実は結構あるのだ。 また、他の MZ の機種にも同様に言えることなのだろうが、ボディーが軽いのはもちろんあり難いのだが、smc PENTAX FA* 77mm/F1.8 や、M レンズなど金属製のレンズを装着した場合には、どうしてもボディーに比較してレンズ側が重くなってしまってバランスが悪くなってしまうのは否めない。 とは言え、その辺りを割り切って、軽い廉価なレンズを付けて気軽にスナップ写真を撮って歩くという用途に使う分には、なかなか良いカメラであると思う。ただし、ストロボのオートポップアップは邪魔なので、殆どの場合オートピクチャーモードではなくてストロボ発光禁止モードで使う事になる。ただそうしていると、今度はストロボを手動でポップアップしても発光してくれないのでそれには注意が必要。 |
使用履歴 |
このカメラは、1999年の秋、ほぼ発売の直後に購入しているが、実は自分用に買ったものではない。従ってあまり使い込んではいないのでこの項目については詳しく書くことができないのだが、当の所有者兼使用者本人が最近はコンパクトデジカメしか使わなくなったので、これ幸いと引き取ったという経緯がある。 上記したように、カメラとしてのバランスは AF を除いて非常に良いので、常時使うカメラのラインナップに組み入れるという前提でどういうシーンで使うのかを考えると、やはり軽さ (重量、使い方とも) という特性を最大限に生かすのが良いだろうと思われる。このカメラを購入した際に同時に買った smc PENTAX-FA ZOOM 28-80mm / F3.5-5.6 は重さ 275g なので、MZ-7 に装着しても合計で 670g にしかならない。それは、MZ-7 が発売される 23年も前に機能を絞り優先オートのみして軽量化、および使い勝手の簡略化に徹するというコンセプトでまさに初心者をターゲットに発売された PENTAX ME に、当時の標準レンズ smc PENTAX-M 50mm / F1.4 をつけた重さ 700g よりも軽くなってしまうのだから、それだけで (つまり軽いということ) でこのカメラの存在意義としては充分なのだ。 ただ、さらに欲張って、重さ 110g の smc PENTAX-M 40mm / F2.8 などを付けてフォーカスエイドで使えば快適なのでは、などと考えてみても、当然のことながらオートピクチャープログラムもシャッター速度優先 AE も使えないし、ファインダー内の絞り値表示も効かず、また見た目のバランスも異様な感じになってしまうので、絞り優先で使うのであれば ME に軍配が上がってしまうのである。しかしながら、我が家の ME は既に故障していて動かないので、とにかく代役を務めてもらうというのもありかもしれない。 |
参考文献 |
『PENTAX MZ-7 QUARTS DATE 使用説明書』 『PENTAX MZ-7 (カタログ)』 (1999年8月現在) 『PENTAX smc PENTAX LENSES (カタログ)』 (2000年6月現在) 『アサヒペンタックスのすべて』 朝日ソノラマ (1977年12月25日 初版発行) 『日本カメラ 12月号』 日本カメラ社 (1999年12月1日発行) 『アサヒカメラ 12月号』 朝日新聞社 (1999年12月1日発行) 『アサヒカメラ ニューフェース診断室 - ペンタックスの軌跡 ペンタックス主な 21機種「診断室」再録』 朝日新聞社 (2000年12月1日発行) 『日本カメラ MOOK カメラ年鑑 2000年版』 日本カメラ社 (2000年1月5日発行) 『日本カメラ 8月号』 日本カメラ社 (2001年8月1日発行) |
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