特徴など |
PENTAX KM は 1975年 6月 1日に旭光学工業 (現 ペンタックス株式会社) が K シリーズの発売を開始した際に K2、KX とともにラインナップされた中でも一番ベーシックなカメラである。同タイミングにて新設計された K2 とは異なり、変更点はスクリューマウントの SPF を K マウント化したといった程度で、受光素子も CdS のまま、またプリズムの銀蒸着もなされていない。 KM に特徴的なのはフォトスイッチである。これは、通常の測光用にファインダー接眼レンズの左右に置かれている CdS とは別に、接眼レンズの上にもうひとつ CdS を設置し、ASA100 EV3 以上だと露出計を ON、ASA100 EV2 以下だと OFF にするというものである。KM 上には露出計のスイッチはこれ以外にはなく、マニュアルには『1973年 7月に発売された PENTAX SPF にて採用されて以来、多数のご愛用者によって使用されてきましたが、電池の寿命が短くて困るというクレームはありませんから、安心してご使用ください。』と記載されてはいるものの、実際レンズキャップを使用しないでカメラを持ち歩くには少々不安があったのは事実。しかしながら、長年使っていても電池の寿命が短くて困ると思ったことは一度もなかったのも事実であるという不思議な機構。そもそも電池を露出計にしか使わない電力消費のかなり少ない機械式シャッターのカメラだから実現できた機能なのであろう。 |
使用履歴 |
確か中学2年(1979年)か中学3年(1980年)の頃にそれまで使っていた PENTAX ME に飽き足りなくなって、当時たまプラーザのイトーヨーカドー 2F にあった「カメラのブンや」にて 50mm/F2.0 付きの新品にて購入。それ以来、大学を卒業して社会人2年目(1989年)にアメリカ、カナダの旅行にを終えるまでずっとメインのカメラとして使用していた、これまでの人生の中で一番長い期間に渡って使い続け大量の写真を撮った愛着のあるカメラである。北アルプスではごろごろと岩の上を転がり落ちたりしてペンタプリズムの屋根が少々つぶれているが、単純な機構故に頑丈で 10年余りの間一切故障は起こらなかった。唯一故障といえるのは、1989年にカナディアン ロッキーを旅した際の酷使によって、最終日にバンフのホテルに着いて見てみたらなんと底ブタが脱落してなくなってしまっていたことぐらいか。写真はもちろん無事に写っていた。
帰国後にオーバーホールに出してはいたものの、1990年に PENTAX LX を購入して LX がメインのカメラになって以来、しまい込まれたまま日の目を見る機会がなくなってしまったため一気に老朽化が進み、シャッターの油切れ、プリズムの腐食も進んでいた。メーカーのサービスでは既に修理対象外となっていたため、2002年 4月に東京カメラサービスにてシャッターの修理および調整、モルトプレーン張替え、メーター調整(計2万円)を行った。その際、ペンタプリズムのカビは清掃不可能とのことで、改めて 2003年 3月に今度は株式会社 関東カメラサービスにてプリズムの交換の限定修理(1万8千円)を行った。結局、中古で KM をもう二台買えるほどの修理代をかけてようやく新品同様の姿に戻り無事現役に復帰したわけである。初代の底ブタは今もカナディアン ロッキーのどこかでひっそりと眠っているのだろうか。或いはもうすっかり朽ち果ててしまったのかもしれない。 なお、購入時に付属していた SMC PENTAX-M50mm/F2.0 のレンズは、そのとき既に SMC PENTAX-M50mm/F1.4 のレンズを持っていたためにほとんど使用されることはなく、未だに使用頻度ほぼゼロをキープし続けている。 |
参考文献 |
『ASAHI PENTAX KM 取扱い説明書』 『アサヒペンタックスのすべて』 朝日ソノラマ (1977年12月25日 初版発行) 『季刊クラシックカメラ No.8 - 特集 一眼レフ魂の結晶 ペンタックス』 双葉社 (2000年7月15日 発行) 『使うペンタックス』 中村 文夫著 双葉社 (2001年5月1日 第1刷発行) 『マニュアルカメラシリーズ10 ペンタックスのすべて』 竢o版社 (2002年1月30日 発行) |
PENTAX KM PENTAX K2DMD PENTAX MX PENTAX ME PENTAX LX PENTAX MZ-7 PENTAX MZ-S PENTAX 67 PENTAX 67II FUJI GS645S Professional FUJIFILM TX-1 RICOH GR1s