雪渓とお花畑と灼熱地獄の記録
(白馬岳 - 朝日岳: 2000/8/3 - 2000/8/7)


2000/8/4: 村営白馬岳頂上宿舎 〜 白馬岳山頂 往復

村営白馬岳頂上宿舎テント場発(13:30)→ 白馬岳 (2932.2M) 山頂着(14:00)→ 山頂発(14:25)→ テント場着(15:00)

テント場は小屋裏のくぼ地で既に数張のテントが設営されていた。どこかの大学生らしきパーティが大騒ぎしていたので、なるべく離れたところに張ることにした。既に昼の 12時を回っているので日差しはジリジリと熱く、またくぼ地のテン場は風が来ないのでテントの中は灼熱地獄状態だ。今回は軽量化のためにフライも置いてきているので日差しは黄色いテント地を通して情け容赦なくテント内を蒸し風呂化していくが、それでも直射日光を避けたいのでテントの中で残りのおにぎりを食べながらしばし休憩。もちろん全身汗だくになってしまった。
「汗だくでここにいるのも辛いし、今日のうちにゆっくり頂上まで行って来るか。どうせ明日も通るルートだが、まぁ明日の天気もどうなるかわからないしナァ。」
というわけで、時間もたっぷりあるし、一服したところで頂上まで偵察に行くことにした。

村営小屋からはふたつのルートが出ている。小屋脇の雪渓に沿って登るルートとテン場からすぐに稜線上に出てしまうルートだ。当然のことながら景色の良さそうな稜線のルートを取る。稜線に出るとすぐに目の前にドーンと白馬山荘、左側に旭岳が見える。さらに南の方には黒部山塊と遠くの方には槍穂も見えている。やはり八月の第一週はジンクスどおりドピーカンである。空身なので頂上まではものの 30分もあれば行けそうだ。

白馬岳山頂から縦走路(三国境方面) 途中の白馬山荘には結構大きな風力発電装置のプロペラが回っていた。写真を撮りたかったが、どこかのテレビ局が小屋のオーナーのインタビューを撮影していて、そのスタッフが人払いをしており、プロペラに近づくルートがふさがれていた。あえなく敗退し、さらに登る。予想通り約 30分で山頂に到着。展望を見ようとかの強力伝のプレートに近づくと、てっぺんのそこにはなんとピザパイ大のゲロがあった。今までいろいろな登頂を果たしたが、今回はもっともインパクトがあったと言っても過言ではない。何処の誰だか知らないが、何も頂上まで我慢して敢えてそこでしなくてもよさそうなモノなのに、頂上に自分の足跡(ではなくてゲロ跡)をどうしても残したかったのだろうか。

朝日岳方面は雲に隠れて見えなかったが、三国境の方に向かう鋭く切れ落ちた稜線だけがガスの中に見え隠れしていた(写真左)。今の時点では明日のルートがすべて見えない方が精神衛生上良いだろうと思って、それ以上そこで粘るのは諦めて下ることにした。

今回は高山植物の全盛期にちょうどぶち当たり、雪渓上部からのお花畑がものすごく美しい。ここまで完璧に自分の夏山と高山植物のシーズンが重なったのはもう十何年ぶりぐらいのことではなかろうか。しかも残雪も結構残っているのでコントラストが抜群である。写真を撮ったり旭岳の方に向かう道をちょっと散歩したりしながらのんびりと小屋まで下っていくと、
「ややや、あれはひょっとして...」
そうである。またもや 29人隊と出くわしてしまった。もうとっくに頂上に行っていたかと思っていたが、そういえば上では会わなかった。

小屋の周りで花の写真を撮っていると、ゴロゴロと雷の音が聞こえてきたので、おとなしくテントに戻って晩飯の仕度をすることにした。
白馬村営ロッジ脇のお花畑

テント場に戻ると結構盛況であった。やはり中高年登山隊の割合が圧倒的に多いが、一昨年の針の木岳に比較してその割合は若干減っているように見え、大学生や高校生が増えた気がする。また、針の木の時よりはマナーの良い人たちが今日は泊まっているらしく、いざこざも見られなかった。雪渓の途中で見た女の子のパーティも無事に着いたようで、キャッキャと騒ぎながらメシを作っている。となりのテントはどこかの高校生の山岳部らしく、食後に反省会をやっていた。部員二人、引率の先生二人というこじんまりした山岳部である。アルプスに入ったのは今回が初めてらしく、今まで登った山との比較なんかを先生が丁寧に教えてあげていて、こういうのもいいなと思って話を聞いているうちに寝てしまった。7時ぐらいだったと思う。


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